「家」という言葉は、「寝戸」が語源だとされる。寝る場所こそが家の原点だ。家は夫婦がそれぞれ心地よく眠れる場所でなければならない。私が家づくりにおいて寝室の設計を重視する理由もそこにある。大家族のための家であれ、夫婦ふたりの家であれ、どんな家にも安心できる自分だけの居場所が必要なのだ。しかし家は、「オレの居場所」「私の居場所」であると同時に、「夫婦の居場所」でもなければならない。それぞれが好き勝手に暮らしているようでも、互いの気配を感じ、案じ合い、相手を愛おしく感じられる瞬間がなければならない。
(参考サイトのご紹介)
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そうでなければ夫婦がともに暮らす意味がない。もちろん多くの家庭では、M夫妻のような贅沢な家はつくれない。しかし、M夫妻の家のイメージが、私にとっては住宅設計の原点となった。「引き戸で仕切る夫婦の寝室」のアイデアも、そこから生まれた。夫婦はけっして一心同体などではなく、二人の大人である。つねに別人格であり、日常の習慣も価値観も夢も違う。無理して一締にいる必要はないし、同じ夢を見なければならない理由もない。しかし夫婦である以上、やはり深いところでつながっている。困ったときには支え合う関係でありたい。そうでなければ夫婦で暮らす意味がない。定年後の夫婦の家では、もう一つ考えておかなければならないことがある。Mさん夫妻は、寝室が向かい合った家でその後、十数年を幸せに過ごされた。Kさんが倒れた後、夫の寝室はそのまま介護室になった。